グリーンリボンキャンペーンとは…

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Interview 210/21 UPDATE

高木新平

高木新平さん ...1987年生まれ。富山県出身。早稲田大学卒業後、入社した大手広告会社から3.11をきっかけに独立しフリーランスに。ソーシャルメディアを駆使した若者向けの政治キャンペーン「One Voice Campaign」を手がけるなど、様々な企画を仕掛け、世の中に新しいムーブメントを起こすコンテクストデザイナー。

人と社会とのつながり方を大切にしているという高木さん。「無駄なことに面白さがある」という独特の発想力から生まれる、みんなでACTION!を起こすきっかけづくりなどについてお話を伺いました。

コンテクストデザイナーという肩書きには
どういった意味が込められているんですか?

コンテクストは「文脈」という意味でして、作り手の想いや世間の声などといった 「言葉」を整理して、良きカタチに昇華させて具体化させる、つまりデザインするということなんです。わかりやすく言うと、 「言葉を作り、デザインに落とす」といったところです。元々は肩書きなんて不要と思っていたんですが、日本は無いといろいろ不便だったので用意したんです。理由は最初、テキトーだったんですけれどね(笑)。でも、あるとき言われたんです。「高木さんは社会の文脈と照らし合わせる作業をしているんだね」って。おもしろいもので、人は肩書きをつけるとそれに乗っ取られていくんですよね。

コンテクストデザイナーとしてのお仕事について教えてください。

企業スローガンやロゴの再構築をベースとして、企業や商品のメディアへのPR、社内の仕組みづくりなどのお手伝いをやっています。最近では政治家や選挙人のスピーチを書くこともあります。いずれも、その人や企業の想いと世間がどう思っているかを言葉で紡ぐ作業をしています。ただその人がいま届けたいものを届けるのではなく、社会の状況や望む未来までを照らし合わせることで、数年先まで機能するモノサシを描きます。ときに本人の熱をクリアにしてあげることも必要ですからね。そんな想いが溢れている人の気持ちをシンプルにそぎ落として、世の中の人がわかりやすいカタチにパッケージする仕事です。

物事に関心のない若者が増えていますが、
彼らの心をつかむために工夫されていることはありますか?

「シリアスでありながら、ポップであること」をいつも僕は意識しています。たとえば、こういった(グリーンリボン)キャンペーンや政治もそうですが、大切なことだからこそ真面目じゃなきゃ、って思いがちなんですよね。でも、それは違うと思うんです。若者に届けるには、カッコ良さやおしゃれさっていう遊びも必要だよって。要は"祭り"と同じなんですよ。コアの1%の人たちにとっての祭りって地域の神を祭るといった神事で、超真面目なことをやっているんだろうけれど、外側には屋台を出して商売している人も、神輿を担いで騒いでいる人たちもいる。しかしそれも5%くらい。さらにその周りの90%以上の人は、カップルでデートしたり、チョコバナナ美味しいね、祭りの日だから日本酒飲むか、なんて言っている人たちで構成されていますよね。でもそうやってどんな参加者も参加しやすい寛容な仕組みがあることで、祭り全体が盛り上がっていく。シリアスポップというのは、こういう生態系全体で考えるための振り幅です。多くの人の参加をつくるためには、中身をつくる真面目な要素と、1人でも多く巻き込むための遊びの要素、その両方が必要じゃないかなと思っています。

グリーンリボンキャンペーンという活動については、ご存知でしたか?

正直、知りませんでした。でも話を聞くうちに、今までそういう(臓器提供の意思表示をする)ことを考えていなかったけれど、僕自身はYESの意思表示をしよう、と思いましたね。脳死と判定されたら、全部提供してもOKです。生きている人に僕の臓器が活きるんだったら、いいんじゃないですかね。墓場まで持っていく必要性は感じないですし (笑)。

臓器提供における意思表示の輪を広げるためには、なにが大切だとお考えですか?

臓器提供とか意思表示とか、言葉がいちいち重たいんで言い方を変えたが良いですね...(笑) でもう少しちゃんと答えると、「日本は世間の国」なんですよね。自分と関係のある世間は興味があるけれど、自分と関係のない社会のことになるとピタッと無関心になるように。空気を読むという言葉がある通り、周りの目が気になって自分の意思表示をしにくい世の中なんですよね。僕も含めてですが、つい世間にどう思われるかを考えてしまう。
一方で、僕たちは小さな頃からあまり個人として社会全体とどういう関係性であるかを考えたり、表現したりすることを練習してきてない。政治や経済の問題なんてまさしくそうですよね。だから個人がどう世間を超えて、社会へのアクションをとることができるか、そのハードルをいかに引き下げていくかが大切になってくると思っています。

理屈を超えて実行することが難しい。個人としてアクションを起こして社会につながることの喜びっていうのは、体験してみないとわからない。たとえば、とある社会支援のために10万円寄付したという人がいたとします。迷いが大きければ、その分周りに話すでしょう。「オレ、10万円丸ごと寄付したんだぜ」とか「10万円も寄付しちゃった...カバン諦めてさ」とか、どんなテンションかは人それぞれでしょうけど、周りからはとりあえず「マジかよ」なんて反応される。でもその寄付した時の気持ちよさって、経験した本人しかわからないことなんですよね。やってみたら意外と「こんなもんか」と思いながらも、なんだか気分が晴れやかになるかもしれない。ただそれで1つ言えることは、そのアクションによって個人と社会の関係は前進したってことです。

なるほど、意思表示は社会とつながる第一歩であると。
では最後に、グリーンリボンキャンペーンについてメッセージをお願いします。

社会とつながる感覚を広く共有していくためには、そのテーマにシリアスじゃない人もポップに動きやすい環境を整えることが一番。だから今回の場合は、まずは免許証や保険証の裏に書いてある臓器提供の意思表示欄にYESでもNOでも書いてみる。ただし大切な条件があって、「5秒後には消す」という前提で。いやこれは真面目な話で、だって自分の意思表示はいつでも変更できるんだから。経験したことがないから、今の決断にどう責任とればいいのか分からないし、自分でどう感じるのかリアルにイメージができない。でも「5秒後には消す」という環境設定なら、とりあえずアクションしやすいと思うんです。もちろんそのときには是非、パートナーや子供、家族や周りの友だちのことなどを思い描きながら、選択してみてください。怖いなと思ったら、書いた瞬間消しちゃっても構いません。なんとなくでも「これで助かる命もあるかもしれない」と思って「YESであろう」と消さないままでいる人が1人でも出てきたらいいんだと思います。そうやって経験が良い方向に連鎖していく、態度を示しやすい世の中にしていきたいですね。

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